京都に住んで十数年の坂本みきが京都の今を伝えます。観光ガイド本では知ることのできない〝リアル京都〟の紹介です!
(ライター・坂本みき)
第1回 京西陣 菓匠 宗禅
耳をすませば、今も機の音が聞こえてくる西陣の街。
西陣織の街として栄えてきたこの地には、昔からの町家が連なる風情ある町並みが今も残っています。
西陣織とは染色した糸を使って模様を織り出す先染の紋織物で、繊細かつ緻密に織り上げられた文様はまさに和の芸術品です。
それはあまりにも美しくて、思わずため息が出るほど。
以前、ある西陣帯メーカーで働いていたことから、西陣織は私にとっては切っても切り離せない存在です。
しかし、残念なことに、近年の着物業界の不況から、街の活気が徐々に失われてつつありました。
そんな中、「京西陣 菓匠 宗禅」は西陣織の美しさ、職人の匠の技や本物へのこだわりに感銘を受けたと同時に、たくさんの人たちに西陣織の素晴らしさを伝えたいという思いから誕生しました。
宗禅は築120年の町家を改装したお店で、石畳が続く浄福寺通りに佇んでいます。
開放的な空間を演出している高い天井は、もともと織屋だったため、織機を置いていた名残をとどめています。
そして、この空間の主役となっているのは、西陣織の世界を描いた包装紙に包まれた、煌びやかなあられやおせんべい。
本物の技・味を追求し、意匠を凝らしたあられやおせんべいは、西陣織の美を表現した究極の逸品です。
私的には、京都を意識した自慢できる手土産にピッタリだと思います。
その中で、『上技物あられ 綴(つづれ)』を紹介します。
西陣織の代表的な織技法の一つである綴は、それぞれの文様を緯糸(よこいと)で経糸(たていと)を包み込むようにして細かく織り上げる技法。
この西陣織の綴をイメージして作り上げた厚手のあられを、緯糸のように小包装で一粒ずつ包み込む。
そして、その数は抹茶、南高梅・和三盆・ざらめ、京七味、柚子、明太子、黒胡椒、九条ねぎ・西京味噌、黒胡麻、醤油、きなこ、焼き海苔の全部で12種類。
可愛らしいひと口サイズで、それぞれ四季折々の京都の美を映し出しています。
また、上技物あられとは「最高峰の技。味をもつあられ」だけに許された称号とか。
西陣織と同様、とにかく徹底したこだわりが垣間見ることができ、味もさることながら、見た目の品の良さも楽しめる珠玉の逸品。
まさに、西陣織に魅了された店主の努力と熱意の賜物と言えるでしょう。
