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ヨーコのよろめきコラム 第9回

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 あるときは踊り子、あるときはライターと、自由自在に生きるヨーコ姐さんのちっちゃなことかもしれないけど、とっても大事な話。

(ライター・ヨーコ)
第9回 タロウとドライブ
 私の愛犬、タロウ。100%雑種の犬だが、なぜか限りなく柴犬に近い容貌をしている。虐待されて殺されかけた所を、保健所から救い出してきた普通の雑種なのに、みんなが柴犬と間違えるので、タロウに付けられた別名が"忠犬パチ公"。そう。パチはパチ物のパチ。最近は「パチ~」と呼びかけると、振り向くようになったタロウ。そんな名前に反応すんなや!!!!!
 

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 まあ、そんなタロウであるが、虐待されていた過去のせいか、見知らぬ人が触ろうとするとビビって逃げる。シッポを振って顔をペロペロなんぞは絶対にしない。とにかく愛想のない犬である。飼い主からみても、そう大して顔が可愛いわけでもなく、眉毛があるのがチャームポイントで、情けなさと間抜けさをこの眉毛が醸し出しているのが、まあ可愛いかなーと思う程度なのであるが、なぜだかこのタロウ、かなりの人気モノなのである。
 

 学校のクラスにも一人はいただろう。顔も大したことないし、面白くも、愛想も良くないが、なぜか妙にモテるってヤツが。タロウはいわばそんな犬なのである。
 

 犬ってのは大体ドライブが大好きだ。タロウも助手席に載せると、窓から大きく身を乗り出してサイドミラーにアゴを載せ、風を切って走るのが大好きである。(ミラー見えねぇんだよ! 左折も車線変更も出来ねぇぇぇええ! 邪魔だっつーの! )
 

 散歩の時にはタロウに1時間以上も引きずり回され、ヘルニア持ちのオバハンはいつもヘトヘトでマンションに帰り着くのだが、タロウは家に入らずに車のドアの前で座り込み「ドライブにも連れて行ってくれなさい!」といわんばかりに、ドアを引っ掻いたりするぐらいにドライブが大好きなのだ。
 

 車の前で『きゅーん、ひゅーん、きゅーん』と切ない声で泣かれて根負けし、あてどもなく犬にドライブに連れ出されることもしばしばなのであるが、それはそれで私もまあまあ楽しいのである。
 

 なぜなら左車線に停まった車からは、女性ドライバーなら必ずといっていいほど黄色い悲鳴をあげ、男性ドライバーもタロウの姿を見てくわえタバコを吹き飛ばし、タクシーの運転手はコーヒーを噴く。道を歩く人々も「いやぁぁああああ!!! かわいい!!」と叫び声をあげて指を指す。ソープ街で信号待ちをすれば、イカツイ顔した客引きの兄ちゃんが、客にも惚れた女にも見せたことのないであろう満面の笑顔で、タロウを触りに小学生の様に駆け寄ってくるのが、なんとも面白いのである。飼い主としても非常に嬉しいのだ。
 
 
 先日など信号待ちの時に、バイクの二人乗りの兄ちゃんがタロウに手を伸ばし『噛みますか? 触っていい?』とタロウを触りはじめた。信号が青になって走り出すと、タロウを凝視しながらピッタリと併走してくる。また信号に引っかかれば「名前はなんていうんですか? タロウ? オレの犬は小次郎っていうんです」と、タロウをこねくり回しながら話しかけてきた。
 

 また信号が変わったので発進すると、少し出遅れたバイクの二人組は、タロウに追いつこうと焦ってアクセルを捻りすぎたのか、それはそれは見事なウィリーを決め、鮮やかな弧を描いて宙を舞い、二人とも豪快に吹っ飛んでいったのがバックミラー越しに見えた。しかも沖縄のメインストリート、国際通りのど真ん中でだ。ぶははは。
 

 しばらくバックミラーを見つめていると、二人とも起きあがってバイクを起こしていたので、ま、大丈夫みたいだなと、とっとと逃げたんだけどな。知ぃーらないっと。


「あーあ、アンタのせいで二人の青年の尊い命が失われるところだったんだよー」
 

 そうタロウに話しかけても、ヤツはパチ物の柴犬風巻き尾をくるんと高く上げ、知らん顔して、優雅に風を切って走っていた。
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ライター
ヨーコ
アソコから火を噴く「ファイヤーショー」を披露。そのかたわらノンフィクションライターとして新聞、雑誌などに寄稿。

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