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ヨーコのよろめきコラム 第8回

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 あるときは踊り子、あるときはライターと、自由自在に生きるヨーコ姐さんのちっちゃなことかもしれないけど、とっても大事な話。

(ライター・ヨーコ)
第8回 ペットの多頭飼育問題
 
 多頭飼育という言葉を聞いたことがあるだろうか。犬や猫を多くも飼うことをいうが、無計画な繁殖を続けたり、次々と子犬や子猫を拾い続けた結果、飼い主が手に負えない状況になった場合には、多頭飼育崩壊となり行政やボランティアが頭を抱えて苦悩する事態へと容易に陥る。
 
 
 東京のマンションの一室で起こったある多頭飼育の問題では、最初は3匹だった猫が繁殖を続けて20匹になった。飼い主は里親捜しを行い、一応の努力をしてはいたが、2年後にはなんと200匹にも猫の数が増えたのである。近親交配の為、流産する率も高かったであろう。妊娠率も悪かっただろう。環境の悪化に伴い、出産後の死亡率も高かっただろうし、当然子食いや飼育放棄による死亡も数多くあったと思われる。だがそんな悪条件下でも、たったの2年で200匹にも増えてしまう。このように想像を絶するような事態に陥るのが、多頭飼育の問題点なのである。
 
沖縄で私がかかわった多頭飼育問題
 
 
 そんな多頭飼育問題が沖縄県で発生し、私はそのレスキューに携わることになった。沖縄在住のある夫婦は10頭ほどの犬を飼っていたという。そのうち敷地内に犬を捨てられたり、避妊手術を行っていなかった3頭の雌犬が子供を産み、あれよあれよという間に犬が増えていったという。県下の愛護団体が介入して、子犬だけは引き取ってもらいはしたが、残った犬は25頭もいる。そして近隣からの苦情により犬舎の立ち退きを迫られ、移転する敷地も金もなく、飼い主は進退窮まったというわけである。
 
 
 25頭のうち1匹には里親が見つかり、2匹は一時預かりのボランティアさんの元にレスキューした。残るは22頭。しかしこの22頭の犬達のうち、里親を捜せる様な状態の犬は5頭しかいない。他の17頭は人に全く心を許さず、噛む犬、吠えて牙をむく犬、怯えて触ることも出来ない野犬の様な犬達ばかりだ。人間に興味を示すこともなく、檻の中を歩き回り続けている、動物園の檻にいる怯えたオオカミのような犬達ばかりなのである。
 
 
 犬が25頭にもなれば、散歩に連れて行くことも出来ない。優しく撫でてやることも、おもちゃを与えることも、十分な愛情を与える事も出来なかったのだろう。飼い主は犬舎の掃除と給餌だけに追われて、犬達のメンタル面でのケアをすることなど出来る余裕などなかったのだと思う。
 
 
 雨風をしのげる小屋があり、餌も水も十分にある。それだけでも犬は育ちはするだろうが、ただ生きているだけだ。犬達の心が健全に育つことはない。少なくとも人間と暮らせるパートナーシップを育むことは不可能だ。この犬達がいる犬舎を見た時、まるで精神科病棟に隔離されている、心の病んだ犬を見ているような、暗澹とした気持ちにさせられた。多頭飼育の中で育つ犬には近親交配による障害も多く見られるが、心の成長を阻害された犬が多く見受けられるのである。
 
 
 しかし、どんなに心傷ついた犬であれ、命の尊さには優劣はないはずだ。そこにあるのは人間側の判断と都合だけで、命の重さは全て一緒のはずだ。その思いを胸にして獣医やトレーナー、ボランティア達が立ち上がり、犬達の里親捜しと、避妊及び去勢手術を行っている。
 
 
 多頭飼育問題とは、飼い主の怠惰、想像力の欠如が重なり、段々と問題は悪化していく。避妊手術を怠れば爆発的に頭数は増え、ひとたび伝染病が発生すれば瞬時に全頭に蔓延するだろう。頭数が増えるに従い、犬達の餌代や医療費も増大する。その費用が飼い主の生活をも逼迫するのは時間の問題なのだ。飼い主の病気や失業により飼育が不可能となる場合も多い。
 
年間30万頭が殺処分 施設に80億円もの費用
 
 
 このように多頭飼育問題の行方には、必ず崩壊が待ち受けている。法人としての収入源があり、代表者の交代にも耐えうる組織が運営するシェルターでもない限り、多頭飼育はいつか必ず限界の時を迎える。これは個人経営のシェルターであっても例外ではない。飼い主が死去すれば、一体誰が何十頭もの犬や猫を相続してくれるというのだろう......。
 
 
 全国では年間30万頭の犬や猫が殺処分されている。その施設の為に約80億円もの費用がかかっているという。一部の市町村では多頭飼育に罰則を設けている所もあるが、避妊と去勢手術を義務づけて法制化しない限り、この問題は全国どこにでも次々と起こり続けるのだ。
 
 
 犬舎の立ち退き期限が迫り、行き場を失った22頭の沖縄の犬達。犬舎の移転先がこのまま見つからなければ、この犬達も動物愛護管理センターのガス室で、命果てることになるだろう。
 
 
 しかし私たちは諦めない。絶望的な状況の中でも獣医師達は懸命に避妊と去勢手術を続け、ボランティア達は里親捜しに駆けずり回っている。
 
 
 22頭の命が燃え続けている限り、最後の最後まで、絶対に私たちは諦めない......。
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ライター
ヨーコ
アソコから火を噴く「ファイヤーショー」を披露。そのかたわらノンフィクションライターとして新聞、雑誌などに寄稿。

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