ヒマだ。映画でも観るか。でもいったいなにを観よう。絶対失敗はできんぞ。そんなときはこのコーナーアクセスしてください。なんにもやることがない夜のおとも。ちょっと奇妙な映画紹介コーナーです。
(ライター・堀田純司)
第25回 俺の好きな映画について語らせろ『マイマイ新子と千年の魔法』その1
長らく続けさせていただいたこの連載だが、ついにあと2回となった。そこで、残る回は近年観た中でも特に好きな映画について語らせていただく。
まず最初は、2009年の後半からじわじわと話題が広がった『マイマイ新子と千年の魔法』である。
(写真は公式HP)
この作品は告知がうまく行かなかったのか、公開当初はお客さんの入りが今ひとつで、早々に公開が終わる。しかしその後、小さな映画館で上映が細々と続くうちに、何度も繰り返して観る熱心なファンが現れ、その人たちが発した「もっとたくさんの人にこの映画を観てもらいたい」というメッセージとともに支持が広がっていき、上映館は再び拡大。一時は発売が危ぶまれたDVDも、発売が決定したという物語を持つ作品である。そしてその物語は現在もまだ続いている。
私も、ネットで「大のオヤジが感動してぼろぼろ泣いている作品がある」というニュースを見かけて気になり、観に行ったクチであった。当時の上映館、ラピュタ阿佐ヶ谷は、自宅から一駅。自転車で行けるのだが、観るには整理券が必要で、これが午前中にも売り切れてしまうそうなのである。たまたま朝に電話で叩き起される機会があり、まずそのまま自転車に乗って整理券をもらい、夜に再び阿佐ヶ谷を訪れて、映画を観た。
『マイマイ新子』の舞台は昭和30年代の山口県。と聞いて「懐古ブームの作品か」という先入観があった。もう何度も書いてきたことだが、グローバリゼーションが進み伝統が希薄なった時代には、逆に懐かしいものが流行るのである。また私が最初に接したニュースにしても「アニメに縁がない熟年世代のお客さんが目立つ」という文脈だったので、きっと年配の人が多いのだろうと思っていたが、50席程度であろうか。その客席はむしろ若い人も多かった。
ストーリーは、額の生え際のほうにマイマイ(つむじ)を持つ少女、新子と、東京から新子たちの住む田舎に引越してきた貴伊子の出会いから、流れ出す。都会から田んぼが広がる美しい田舎へ。しかもその環境の変化だけではなく、劇中ではっきりとは語られないが恐らくはなにか家庭の事情で元気がない貴伊子だが、新子に引っ張られるうちに、新しい環境になじんでくる。
そして新子と貴伊子が中心になって、泥だらけになりながら自分たちで大きな水たまりというか小さな池をつくり、そこにきれいな金魚が一匹、ゆらゆらとたたずむのを観て、みんなで楽しんでいた。残念ながらよかれと思ったことが仇になって、その金魚は死んでしまうのだが。しかしその金魚(ひずる)を、小川で見たという話を聞き、新子たちは懸命になって探し始める。
(次回5月17日に続く)
