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(ライター・堀田純司)
第18回ゾンビ映画クロニクル 番外編
ゾンビ・ストリッパーズ 無修正版コレクターズ・エディション [DVD]
ナチスの兵士だったり、警察官がゾンビ化したり、映画館の中に出現したりと、もうなんでも来いのゾンビ映画の中で、ありそうでないのが、宇宙から来たゾンビ「スペース・ゾンビ」だ! と書こうとして念のために検索してみたら、なんと『スペース・ゾンビ 吸血ビールス大襲来』という映画が1983年につくられていた。案の定大変なB級映画であるようだ。
ただ、この映画の場合は宇宙からきたウイルスがゾンビ化の原因だそうで、「スペース」の由来がウイルスだけではちょっと寂しい。謎の宇宙船から回収された3体の男女が覚醒して人を襲い始めるトビー・フーパー監督の『スペース・ヴァンパイア』(1985)が筆者理想の「スペース・ゾンビ」に近いが、残念ながらこの映画の場合は人間の精気を吸うのみで、生肉を食べたりはしない。
余談だがサイエンスフィクションであるSFと、オカルトは本来食い合せが悪いはずである。宇宙空間でジェイソンが暴れる『ジェイソンX』(2001)などという映画もあったが、あの場合も一応ジェイソンは「不死体質」であるという、ギリギリSFの範疇内に収めて設定されていた。
そんな中、本当にSFとオカルトを本格的に同時に扱った映画として『イベント・ホライズン』(1997)がある。宇宙船が異次元航法の実験航海を行ったところ、異次元「地獄」に到達してしまったという作品で、ワープと地獄。宇宙船の幽霊船というなかなかエキサイティングな設定なのだが、それほど有名ではない気がする。また「漆黒の宇宙に旅し、そこで神秘に出会ってしまった(そして狂気した)」という構図でいうと、ダニー・ボイル監督の『サンシャイン2057』(2007)という作品も美しくて好きなのだが、これもダニー・ボイルファンにとっては「なんでもこんな映画を」という扱いであるようだ。もしかして筆者は、人にDVDをお薦めするコーナーを担当する資格などないのかもしれない。
そうした自己懐疑はさておいて、冒頭のとおりなんでもこいのゾンビ映画であるが、さすがにジェイ・リー監督の『ゾンビ・ストリッパーズ』(2008)という映画には、意表をつかれたものである。筆者はこの作品を、日本語吹き替えを担当した夏目ナナ氏のブログで知ったのだが、ゾンビ自体の設定は、アメリカ陸軍が研究していたウイルスが流出、と近年オーソドックスの傾向。しかしキャリアが違法ストリップに逃げ込み、そこでストリッパーがゾンビ化するという、実に"なさそうでなかった"ストーリーなのである(ただ裸で踊るホラー映画であれば『死霊の盆踊り』という有名な映画があるが)。
面白いのは、この映画では、女性の場合、ゾンビ化の速度が遅い。だから作中の女性も、感染してもストリッパーとしての誇りと職業意識は持ち続けている。死と官能が同居するそのパフォーマンスに男どもは大熱狂し、誘われた男は日本でいうところの「生板ショー」のような展開を期待して、大喜びで連れていかれそして食われるというテンションの高いゾンビ映画だ。
ゾンビというと、その性質上どうしても感染者の運命とテンションは「右肩下がり」にならざるを得ない。この映画でも、感染者の体はどんどんゾンビ化していく。しかし、その最中にこそ、ストリッパーとしてのもっとも官能的な輝きを見せるという、そこは右肩上がりのなんともイケイケの映画なので、もし未見ならぜひ。
(次回3月8日)
