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(ライター・堀田純司)
第15回 ゾンビ映画クロニクル その5
ランド・オブ・ザ・デッド ディレクターズ・カット 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD]
21世紀に入って登場した『バイオハザード』、『28日後...』(ともに2002)や、原作リメイクの『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004)など諸作により、ゾンビ映画界は活況を呈し、『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)のようなコメディ作品が一部で話題も集めたりもした。ゾンビ映画は、文字通りゾンビのごとく甦ったのである。
なお「ぜんぜんうまいこといってないよ」という批判は甘んじて受ける覚悟である上、しかもこの表現を使ったのは、2回目である。
その一方、ゾンビ映画のオリジネーターであった、ジョージ・A・ロメロ本人も、意欲作を次々と製作し、ファンをわくわくさせている。2005年には、ロメロがこれまでにつくってきたゾンビ映画の続編的なニュアンスを持つ『ランド・オブ・ザ・デッド』を公開。この映画では、地球上はすでにゾンビに覆われ、人間は一部の地域にゲーテッド・コミュニティをつくって生き延びている。そしてそのコミュニティは権力者に支配され、富裕層と、貧困な生活に甘んじる被支配層に別れて暮らしていた。
居住区を川で隔離し、花火を打ち上げてゾンビの注意を一点にひきつけるなどゾンビ対策の方法も確立させるようになり、人間の文明史からいえばかつての栄華の残滓でしかないコミュニティの中でありながら、贅沢な暮らしをほしいままにする支配階級。しかしその小さな王国は、ゾンビという巨大な自然災害には抗えず、結局は劇的な崩壊過程を迎えてしまうのである。
この『ランド・オブ・ザ・デッド』はこの魅力的なストーリーも楽しいが、描かれるのはゾンビ登場後、それなりの年月が経過した世界。ゾンビのほうも試行錯誤を重ね、「リーダー的役割を持つゾンビが登場」「今まではただの反射でふるまっていたが、状況に対応して目的を達成する能力を見につけた」など、行動に進歩が見られるようになっている。
ゾンビに知性を蘇らせる試みは1985年の『死霊のえじき』でも見られ、こちらでは科学者がゾンビを教育し、振る舞いをコントロールする実験を行っていた(一時は成功したかに見えたが、結局はその科学者も実験体ゾンビ・バブの餌食となったと記憶するが、なにぶん劇場で20年以上前に観たきりなので違っていたらすみません)。一方『ランド・オブ・ザ・デッド』では、自然発生的に知性(の萌芽)を獲得していくのだが、その過程は少し感動的で、「ゾンビって、あのまま何年も経ったらどうなるんだろう」などと平素から疑問を抱いている人などには、特にお薦めの映画である(それをいい始めると餓死しないのか、などの疑問もわくが)。個人的には、ゾンビが知性を持つと、ただの「肉食好きのおじさん」になるのではないかという気もする。
そしてロメロがさらに意欲的な試みに挑んだのが2007年公開の『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』であった。〈続く〉
(次回2月15日)
