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今週の、DVD借りるなら、これでDO? 第9回

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 ヒマだ。映画でも観るか。でもいったいなにを観よう。絶対失敗はできんぞ。そんなときはこのコーナーにアクセスしてください。なんにもやることがない夜のおとも。ちょっと奇妙な映画紹介コーナーです! 

(ライター・堀田純司)

第9回『機動戦士Zガンダム -星を継ぐ者-』 2005年 その3

 前1年戦争では、大人は独善的でひとりよがりであったとしても、自分では公の使命を果たしているつもりでした。ジオン公国の公王デギン・ザビは、戦争の最終段階で和議に動きます。それを謀殺したギレンが「権力を手中にするための暗殺ではなかったか」と問われたとしたら、「戦争遂行にあたって、権力を一元化する必要があったのだ」と応えるでしょう。少なくとも彼にとっては私益と公的な使命が渾然としていたはずです。余談ですが、現実の歴史でも、東条英機が陸軍の戦略のトップと、軍政のトップを兼ねるという異例の権力集中を行っています。彼個人の感覚にしてみれば戦争遂行のために必要な人事であり、私益などと言われると心外であったでしょう。

『機動戦士ガンダム』の大人たちは、こうした"大物"に限らず、間違っているにしろ権威主義にしろ、公に所属している意識を持っていました。
 
 一方、「Zガンダム」の世界は趣きが異なります。前戦役から数年が経ち、流動化が進んだ社会。この舞台ではエリート層とその他、諸勢力の2極化が進行しています。かといってエリート層「ティターンズ」に社会の指導者層を担う気概があるかというと、中堅幹部層ですらまったく見られない。あるのはグローバリゼーション期にありがちな「排他」の感覚だけです。しかし対抗勢力となった「エゥーゴ」もさまざまな勢力の集合であり、その思惑は複雑。一枚岩ではありません。

 こうした大人の状況を反映して、登場人物は、おのおのに個人的な欲望にもとづいて行動してばかりです。好きな異性に会いたいと思えばモビルスーツを私的に運用して、飛んでいってしまうのは当たり前。敵の基地に乗り付けて侵入したりなど、平気で行います。
 
 敵の少女にホレて勝手な行動をとり、命を落とす若者さえいました(自己責任論でいくと自業自得なのですが、そう割り切りたくないものです)。大人たちは、これを制止することができません。前作のブライトさんのように鉄拳でこれをとどめる大人は、この世界にはもういないのです。

 無理もないのです。シャア・アズナブルは、本作ではクワトロ・ヴァジーナと、目立ちたいのか、目立ちたくないのかよくわからない名前に変えて登場しますが、彼はブレックス・フォーラの死に際の願いで、ようやくスペースノイドのリーダーとしての、公の使命を引き受ける覚悟を決めます。それまでは、自分探しの旅人のような振る舞いで、若者を殴るどころか、逆に殴られる有様でした。しかもいざ、引き受けた後もその行動は迫力を欠きます。もっともそのツケをシャアは、映画『逆襲のシャア』('88)で一気に払うことになるのですが、やはりそこでも最終的には公私の一貫性を欠き、筆者などは好きなキャラクターであるものの、彼の生涯を振り返ると「百才あって一誠なし」という言葉を思い出してしまいます。これは徳川慶喜にも言われた言葉ですが、よく資質が似ていると思います。
(次回12月21日)
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ライター
堀田 純司
ノンフィクションライター、編集者。

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