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今週の、DVD借りるなら、これでDO? 第10回

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 ヒマだ。映画でも観るか。でもいったいなにを観よう。絶対失敗はできんぞ。そんなときはこのコーナーにアクセスしてください。なんにもやることがない夜のおとも。ちょっと奇妙な映画紹介コーナーです! 

(ライター・堀田純司)

第10回『機動戦士Zガンダム -星を継ぐ者-』 2005年 その4

 シャアばかりいうようですが、ブライトさんも「Zガンダム」では、なりゆきで戦争に参加したようなもの。自分が指揮する艦ではカミーユやカツ・コバヤシが好き勝手なことをやっていますが、もはや厳しく叱ろうとはしません(カツは営倉に入れられますが)。
 
 レコア・ロンドという女性は、てっきり使命のためにその身を捧げた女性かと思いきや、「彼は自分を受け入れてくれた」などとワケのわからぬことをいい、思い切り自分の事情を持ち込んで敵方に寝返ったりします。
 
 忘れてはいけないのがヘンケン・べッケナー艦長で、とても魅力的なキャラなのですが、好きな女一人を守るために、自分の乗艦を前に進め、沈めてしまいます。部下たちも同じ気持ちであった、あるいは心服する艦長のためなら命を賭ける気持ちであったという描写がありますが、このエゥーゴの実力者にして、公人としての使命よりも私人としての感情を優先して振舞ったことには、驚かされます。

 しかし、こうした状況も無理はありませんでした。前戦争は、植民地の独立を掲げて連邦政府に反旗を翻した戦争でしたが、本作の戦争は、連邦軍内部で戦われた内戦。人類の未来をこれで決するという性質のものではありませんでした。実際、戦後も、スペースノイドの自治権の拡大、本国と植民地の各差の解消といった問題は放置されたままであり、長らく社会不安の元になってしまいました。こうした社会では、個人が社会変革に力を注ぐよりも、まず個人個人がどう生きるかを考えるしかなかったのはもっともなことだったと思います。

 本作の放映は1987年。バブルの真っ只中でした。貧乏だけど自分の仕事は社会の役に立っているなどという誇りはまったく流行らなくなり、いやしい手段で稼いだとしても、金持ちのほうが幅をきかせる。そうした風潮を迎えた時期であり、今の日本社会の直接の先祖ではないかと思っています。

 今の日本でも、社会変革は流行りません。みんなあまりにもなにも変わらない世の中にうんざりしてしまったのだと思いますが、それよりも個人の生き方が大事。自己革新の本はよく売れています。公より私。これも時流を反映して当然の結果かな、とまさに結果論ですが感じます。

 まったくの余談ですが、ジオン・ズム・ダイクンが唱えたという「ニュータイプ思想」とは、宇宙に出ることによって人間は変わる、という思想。戦争ではなにも変わらない。ただ個々の人間が変わることで、歴史は変わっていくのだという一種の歴史観でした。ジオンの息子、キャスバル=シャアは「ならば一息に、人類を革新してくれる」と戦争を起こしますが、父の教えの一番大切なところを、おそらくはあえて無視していたのでしょう。
 
 ニュータイプ思想は、現代でいうと、技術の充実によってもっと人はわかりあえるようになるはず、となると思います。
(次回12月28日)
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ライター
堀田 純司
ノンフィクションライター、編集者。

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