ヒマだ。映画でも観るか。でもいったいなにを観よう。絶対失敗はできんぞ。そんなときはこのコーナーにアクセスしてください。なんにもやることがない夜のおとも。ちょっと奇妙な映画紹介コーナーです!
(ライター・堀田純司)
●「ユビキタス化するツンデレ その3」
リナ・ウェルトミューラー『流されて2』1987年
<!--《前回の続き》2回にわたって「ツンデレ礼賛作品としては面白い」と「スウェプトアウェイ」をご紹介しました。しかし「ツンデレってなに?」という読者もいらっしゃることでしょう。次回はその説明を。-->
前回ではガイ・リッチー監督の映画『スウェプト・アウェイ』('02)を、「ツンデレ好き宣言作品としては、とても誠実な作品である」と紹介し、同じ病いを持つ方ならばご覧になってはいかがかと推薦しました。
しかしそこでそもそも「ツンデレとはなんぞや」と怪訝に思われた方も、少なくなかったでしょう。そこで今回は、そのツンデレについて解説します。
ツンデレとは、「普段は高いプライドが災いして高慢で高飛車な態度しかとれないが、ふとしたきっかけで自分の気持ちに気がついてしまう。そうすると、とたんにデレデレの状態になる」という、戦いの神ヤヌスのような二面性を持った女性を指します。
たとえば、普段はガミガミと厳しく当たる優等生の委員長が、実はやんちゃな主人公のことを心の底では思慕しており、ことあるごとに「も、もしかしてワタシ、アイツのことを......。ううん、あんなヤツのことなんか、なんとも思っていないんだからッ」と煩悶するような感じと言えばわかりやすいでしょうか。
筆者も今年めでたく40歳を迎え、アラフォーならぬ、ズバリフォーティとしてこのような文章をしたためることは非常にハードな経験なのですが、読まされるほうとしても、とてもきついものがあるでしょう。しかしそこは無限の想像力で乗り越えていただくとして先に進めます。
この「ツンデレ」は今や世界にはばたいていることが常識となった日本のオタク文化発の言葉ですが、非常に便利な言葉です。
たとえば、あれは90年代の半ばのことでしたが、ある編集者が「理想の女性は、外では厳しく叱ってくれるけど、家では優しくしてくれる女性です」とおっしゃっていました。正直にいうと当時は「なにを言っているのかこの人は」と内心怪訝に思い、発言者の人格にすらやや疑いを抱いたものでしたがあるが、現在ならば一瞬で「ああこの人はツンデレなんだと」と了解可能です。
もし海外の映画批評家もツンデレの概念を認識していれば、ガイ・リッチー監督の『スウェプト・アウェイ』についても、前半のわがまましたい放題をツン期、後半の漂流してからの服従をデレ期として認識し、映画についても「ツンデレ好きならば仕方がないな。マドンナと結婚するのも無理はないな」と受け止めていたかもしれないと、心から残念に思います。
さて次にご紹介するのは、引き続いてツンデレ志向を持つ方へのお勧め映画です。ガイ・リッチー版、『スウェプト・アウェイ』のオリジナル作品『流されて』('74)には、同じ監督リナ・ウェルトミューラーによる姉妹作品がありました。これがこれから、ご紹介する『流されて2』('87)です。
(次回は11月9日)
