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自殺した加藤和彦の〝遺産〟

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 16日自殺した音楽家の加藤和彦(享年62)。きのう19日に密葬が行われたが、加藤が残した「遺産」に目を向けるマスコミは少ない。
 マスコミは加藤のプロフィルを紹介する時、ザ・フォーク・クルセダーズ時代を取り上げる。デビュー曲で280万枚大ヒット「帰って来たヨッパライ」、その後の「イムジン河」「悲しくてやいりきない」などを代表曲、功績として伝えるが、もうひとつ忘れてはならないのがロックの本場イギリス、ヨーロッパで評価されたことだ。
 フォークルを解散後、72年にザ・サディスティック・ミカバンドを結成。デビューアルバム「サディスティック・ミカバンド」は当初日本国内では注目されなかったが、海外で評価され、逆輸入の形で人気を博した(ちなみにバンド名はジョン・レノンが結成したバンド「プラスティック・オノ・バンド」のもじり。オノはもちろんオノ・ヨーコのこと)。
 ミカバンドがさらに評価を高めたのが75年。人気のグラムロックバンド、ロキシー・ミュージックのヨーロッパツアーのオープニングアクト(簡単にいえば前座だが)を務め、目、耳の肥えたファンを熱狂させた。これが日本のポップミュージックの世界的な認知につながっていく礎となった。ヨーロッパの若者たちに「日本ってかっこいいぜ!」と思わせたのだ。
 その後YMOがデビューしてワールドワイドで活躍したのも、源流をただせばミカ・バンドの先陣にある。
 その意味合いで、ミカバンドこそが加藤が日本の音楽シーンに残した輝かしい〝遺産〟である。後進の日本のミュージシャンが海外に出ていく時どれほどプラスになったか。その功績は計り知れない。
 密葬で加藤の遺書が公開された。「今の世の中に音楽は本当に必要なのだろうか」という一文があったという。
 残された音楽関係者は今後この問いかけに答えなければならい。
 合掌。

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